「写 真」は一期一会の宝もの 40



赤 潮 迫 る 日 本 海

 山口県北長門国定公園の景勝地にある 青海島を船で一周してみました。日本海の荒波で浸食されて出来た多くの洞門、石柱、絶壁、奇岩などの絶景を海上から眺めることが出来、またの名、「海上アルプス」とも呼ばれています。そしてここで赤潮なるものを始めて見ました。

 それはあたかも海が真っ赤な血で染まったかのように見え、暗くどんよりした曇り空と相まって一層不気味に見えて「悪魔の美」とでも呼べばよいような不思議な美しさを感じました。

 赤潮は海水の富栄養化による植物性プランクトンの急激な大量発生によるもので、青海島周辺で近年盛んになっているタイやハマチなどの養殖業に大打撃を与えます。

 ところが、皮肉なことに、養殖に使用される大量の餌によっても海水の富栄養化がすすむため、それがプランクトンの発生原因の一つともなっているのです。

 漁業資源を枯渇させないために外洋漁業が制限されつつある今日、養殖漁業が急務となっている日本で養殖漁業を発展させながら赤潮発生を抑えることはたいへん重要な課題となっています。

                                                           栗原 眞純
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