「写 真」は一期一会の宝もの F

伝 説 の 塔

 お盆休みに写真を撮りにトルコへ行ってきました。今回は重い一眼レフをやめて今年の春発売された光学18倍ズームレンズ(28〜504mm)と手振れ補正付きの小型デジカメ、オリンパスSP-550UZのみにしました。

 関空でトルコの大きな観光写真が目に入りました。夕焼けをバックにして美しい建物を撮った写真でした。よーし今回はこれを撮ろう。しかももっと良いものを。しかしそれがトルコの何処の写真なのかは全く分かりません。

 団体旅行で一人だけ好きな時間に好きな所へ行くのは難しいかなあ・・・。

 トルコ、イスタンブール観光が始まりました。現地の女性ガイドさんに関空で撮っておいた写真を見せてここを知らないかと尋ねてみました。

 すると驚いたことにここはクズクレシと云って今夜夜行列車に乗る駅の近くだから列車待ちの間に連れて行ってあげるというのです。喜び勇んで夜になるのを待ってタクシーでクズクレシの夜景を見て来ました。これでロケハン成功です。あとは旅行の合間を見て夕方もう一度そこへ行くことです。

 翌々朝再びイスタンブールに戻って来ました。その日の午後は幸い大した予定は組まれていなかったので添乗員さん了解の上、私一人だけ自由行動をさせて貰いました。イスタンブールの街を歩き回り、夕刻フェリーでボスボラス海峡を渡って目的のクズクレシがある対岸のウスクダラへ付きました。そうです、30年以上も前に江利チエミさんの曲でヒットしたあのウスクダラです。

 8時半頃が日没だと聞いたので7時過ぎにクズクレシを正面から眺められる位置に腰を据え、空が適度に焼けてくるのを待ちました。

 やがて陽が落ち始め、頭の中で描いていた光景が見えて来ました。いよいよデジカメ550UZの初仕事です。手振れ補正機能を信じて手持ちのままで数十枚撮影した中の一枚が今回の作品です。

 因みにクズクレシとは「乙女の塔」という意味です。昔トルコの美しい王女が占い師からこの子は蛇にかまれて死ぬと予言されたのを心配したスルタンが、娘を守るため海峡の中にこの塔を作って避難させました。しかし哀れにも結局王女は、贈られた果物籠の中に潜んでいた蛇にかまれて死んでしまいました。この伝説からこの塔がクズクレシと呼ばれるようになったということです。


 この写真の左手にイスタンブールの世界遺産であるブルーモスクとアヤソフィアが見えています。双方とも沢山の尖塔に囲まれていてよく似ているのですが、一番左手にあるのがブルーモスク、クズクレシとの中間に見えるのがアヤソフィアです。写真をクリックするとブルーモスクが見られます。

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