「写 真」は一期一会の宝もの G



白 鳥 を 迎 え る 朝

 デジカメとパソコンの融合と高性能化のお陰で、これまで絵画では普通に行われていたのに写真では出来なかったことが容易に出来るようになりました。つまり、絵画では、作画意図に合わないものを消す(画かない)ことも、逆に足らないものを付け加えて画くことも、ごく普通に行われて居ました。

 これらはデジカメ出現前までは写真では殆ど不可能なことでした。今回はデジカメ出現のお陰で作ることの出来た作品を見ていただきます。なるべく自然をそのまま残した「写実的な」写真を選びました。

 12月末のある日、白鳥(コハクチョウ)越冬の南限とされているびわ湖東岸草津で、朝6時から、白鳥の群れがねぐらから集団で飛んで来るのを待っていました。この日の朝もつづけて4群が飛来して着水する様子を何度も何度も連写しました。

 全ての白鳥が着水してしばらく経ったとき、びわ湖対岸に美しい虹がかかりました。もう少し早ければ飛んでくる白鳥の群れを虹をバックにして撮れたのになあ、絵画だったら簡単に画けるのに・・・・。

 そこで撮れなかった風景をパソコンの中で創ることにしました。デジタル化された画像はパソコンに取り込んでしまえば後から自由自在に加工できます。そこで白鳥の群れが飛んでいる所と虹の風景とを合成することにしました。二枚の写真は時間が少し異るだけで、撮影した場所も方向も殆ど同じでした。

 このような写真は邪道だという人も居られます、しかしカメラ(写真)の歴史は普通では撮れないものを撮ることが出来るようにする技術革新の歴史でもありました。望遠レンズ、広角レンズ、各種の効果フィルター、高速シャッター、高感度フィルム、明るいレンズ、ストロボ、オートフォーカス等々。さらには多重撮影や、画像の加工・合成などもデジカメ出現以前から種々の方法で試みられていました。

 ですから私はデジカメやパソコンの出現も新しい写真を創り出すためのカメラ発展の歴史的必然と考えて、これらを写真作りに積極的に活用して行こうと思っています。

 今後は絵画と同じように写真でも、頭の中で感じた印象そのものや、感じた事柄を抽象化したもの、超現代的な感覚で捉えた、まだ誰も考えつかないような前衛写真などが次々と登場するに違いありません。

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