「写 真」は一期一会の宝もの K



や え べ に し だ れ

 谷崎潤一郎の「細雪」に登場する優雅な四人姉妹が毎年お花見を楽しんだ平安神宮の八重桜です。どこを撮っても誰が撮っても同じような写真になってしまう満開の桜は写真にするのがたいへん難しい題材の一つです。

 この写真を撮影したのは2006年4月、夜になると春恒例のライトアップ(下の写真)と、「紅しだれコンサート」が演出されました。みやびなしらべが流れる中、幻想的なさくら風景を楽しみながら撮影したのを思い出します。

 東京遷都以後に改良されたソメイヨシノの多い関東などから来られた方は歴史の古い豪華絢爛たる京都の紅しだれを見て満足して帰られるようです。 この紅しだれはその昔、京都御所近衛家にあったものを津軽藩主が仙台へ持ち帰って育てて居たのですが、1895年平安神宮創建にあたり、仙台市長からその苗木が寄贈されたとのことです。

 この写真を載せる前に、岸恵子、佐久間良子、吉永小百合、古手川祐子共演、市川崑監督1983年製作の「細雪」を観て平安神宮の桜のあでやかさを再認識しました。写真に四姉妹が入って居ればなあ・・・・。 どうか皆様それぞれの心に浮かぶ人たちをこの写真に重ね合わせ、足りない部分を補いながらご覧下さい。

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