「写 真」は一期一会の宝もの M



清 流 四 万 十 川

 先月は山の写真でした。今月は山とともに日本の風景になくてはならない川の写真です。アユ、アマゴ、ウグイ、オイカワなどの天然魚がたくさん棲める清流が、生活排水やダム建設などのため少なくなりました。

 そこで日本最後の清流と言われる四万十川を今の内に見ておこうと同川周辺を廻って来ました。四万十川によく合う風物詩は、流域に50ヶ所もある沈下橋でしょう。増水で橋が流されるのを防ぐために欄干がありません。増水した水は橋を壊すことなく橋の上を流れて行きます。橋を沈下橋にすることで水量調節用のダムが不要になります。

 四万十川に清流が保たれている大きな理由はこの川にダムが殆ど無く豊かな水が滞らないからなのです。ダムを作ると流れが停滞して富栄養化が始まりプランクトンが増え水が濁り、水質汚染が急激に進みます。

 ところが、岡山県など瀬戸内地方では、昔から牡蠣やノリの養殖が盛んでしたが近年、河川の浄化が進んで、養殖に必要な栄養が不足し、ノリなどの育ちが悪くなり大問題になっているそうです。とりあえず吉井川、高梁川の上流にあるダムに蓄えた栄養分豊富な貯水を放流して海に栄養を送り、養殖業者の苦境に対応しています。河川の水質浄化と養殖業、あちらを立てればこちらが立たず。難しい問題です。

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