「写 真」は一期一会の宝もの 26



雨 の 日

 以前私は、雨の日には写真を撮りに出かける気がしませんでした。カメラを濡らさないように気を付けるのが面倒だったからです。

 しかし数年前、保事協フォトクラブの仲間から、雨の日にしか撮れない良い被写体がたくさんあることを教えられてから、雨の日も大き目の傘といざという時にカメラを入れる透明なポリ袋を持参して嫌がらずに何かを撮るように心がけています。

 6月末、しとしとと雨が降り続いているある日曜日の朝7時過ぎ、自宅1階の開けはなった窓越しに外を眺めた風景です。普段なにげなしに見ていた風景が、カメラを向けたとたんに新鮮に見えました。そぼ降る雨がうまく捉えられているとよいのですが。

 近景は15年前に家を建てた際、狭い庭に植えたヤマボウシです。白い花弁のように見えるのは総包片と呼ばれる葉の一種で、花は中央に小さく集合して咲きますが、この写真は総包片の裏側から撮影しているので花は見えません。

 ヤマボウシに似た樹木であるハナミズキは北米原産でアメリカヤマボウシとも言われ、白いものと薄紅色のものとがあります。ハナミズキは東京から贈られたサクラの返礼にワシントンD.C.から贈られたものが全国に広がったのだそうです。

 背景は庭の狭さをごまかすために、山々の美しい緑が借景となるように家の向きを考えて作ったおかげで楽しむことの出来る濃淡種々の緑が連なる山並みです。

 この写真を撮った直後に、車で15分も行けば今なお残っている里山風景、いつか雨の日にここを撮ってみたいと記憶に留めておいたところで撮影したのが下の写真です。

 残念ながら、伏見医報では上の写真で見ることの出来る「雨」をきれいに出すことが出来ませんでした。ここに謹んでお詫び申し上げます。

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