「写 真」は一期一会の宝もの 27

 1971年の夏休み、 20日間イギリスを除いたほぼ西欧諸国全列車の1等座席に何度でも乗り降り出来る鉄道切符、ユーレイルパスを使ってヨーロッパを旅したことがあります。交通手段としてだけでなく夜行列車をホテル代わりにしていろんな所を廻りました。

 地中海沿岸バルセロナから西約250kmの所で白壁の美しいイスラム風の建築が立ち並ぶアリカンテの街に着き。ビーチの標識が眼についたので寄って見ました。

 実はその前に、ニースやカンヌなどの有名なビーチへも行ったのですが、こちらは余りに大勢の人が居て、とても写真を撮ろうという気が起こらなかったのです。

 ところがこの人の少ないアリカンテの延々10kmも続くコスタ・ブランカ(白い海浜)で、ノルマンディーのブレストから来たという素敵なフランス人女性、ソフィーに出会い、写真を撮らせて頂きました。フランス人にとってはニースやカンヌはお金持ちの高年者が行く所で普通のOLは、このような人の混まない水のきれいなところでバカンスを楽しむのだそうです。

 下の写真で彼女が手にしているカチカチボール、日本でも流行ったのを覚えて居られる方も多いことと思います。

 この光の都とも言われたアリカンテの街も、あれから40年後の今、NETで見てみると残念なことに普通の大都会に変身してしまったようです。

 ところで、フランスとスペインとでは鉄道の軌道巾が異ります。ところが私が乗った特急列車「タルゴ」だけは自動的に軌道巾に合わせて左右の車輪巾が変わるという優れものでした。新幹線と従来線(狭軌)の混在する日本でもJRが1993年タルゴ社とライセンス契約を結んで2010年を目途に双方を走れる列車を開発して北海道や九州の新幹線で実用化を目指しているそうです。 
ア リ カ ン テ の 夏

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