「写 真」は一期一会の宝もの E

お 見 合 い

 
 年に1・2回山科総合庁舎裏にある休日診療所へ出務の番がまわって来ます。昨年初秋、午後2時に勤務が終わってから小型デジカメを持って診療所の近くをぶらついて見ました。すると診療所から南西に少し行ったところに小さな田圃があり、あぜ道には曼珠沙華がたくさん咲いていました。  

 周囲を数羽のアゲハ蝶が蜜を求めて、あるいは伴侶を求めて舞っているのが見えています。花と蝶をバランスよくファインダー内におさめるのは案外難しいものです。

 花の風景を撮影しながら、蝶が近くに来るのをカメラを構えてじっと待ちました。蝶の撮影ではこちらから近づいてはいけません。気配を感じて必ず逃げてしまいます。しばらくの間、何羽かのアゲハが代わるがわる、思いおもいに飛び回っているのをシャッターをきりながら眺めていました。


 すると2羽のアゲハが写真のような位置であたかもお見合いでもするかのような形で花にとまったのです。2羽の蝶がこんなにうまい具合にファインダーの中に収まってくれたのは初めての経験でした。

 心を躍らせながら撮った数枚の中の1枚が今回の写真です。この1枚が撮れたのはこの日、休日診療所へ来たからであることを思うと休日診様々でした。

 右の写真は別の場所で撮影した、やはり曼珠沙華とアゲハの写真です。何故か曼珠沙華とアゲハはよく似合うように思います。


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