医師テニスあれこれ   39卒 栗原 眞純
  京都大学医学部芝蘭会硬式庭球部 創部50周年記念誌より
    京都府医師テニス協会々長 日本医師テニス協会理事

 京都大学医学部芝蘭会硬式庭球部創部50周年おめでとうございます。小生、芝蘭会硬式庭球部の部員であったことは一度も無いのにふとしたきっかけでOB会に入れていただいてから、ん十年、OB会を楽しませていただいて居ります。本来のOB会員の皆様、部員の皆様ありがとうございます。
 部員の方々は医学部を卒業してからのテニスについて今どんな風にお考えでしょうか。「多分実習や勉強で超忙しくなりそうだからテニスどころではない、残念だがテニスとは当分お別れだ」或いは「苦しみに耐えてここまでやってきたこんなに楽しいテニスを今更止められるか、自分はどこへ行こうと必ずテニスを続けるぞ」などと考えて居られるかも知れません。
 そこで今回は医師になってからでも医師をやりながら参加できる色々な医師テニスを40歳になってからテニスを始めた自分自身の経験を混じえながら書いて見たいと思います。少々長くなりますがお許し下さい。

1.京都府医師会主催 地区対抗テニス大会
 毎年1回春から夏にかけての日曜日に行われます。参加資格は京都府医師会所属の医師と医師家族です。勤務医でも勿論構いません。その時々の幹事のアイデアでいろいろな趣向を凝らして運営されます。勝敗だけでなく医師同士が知り合う懇親をも主旨とする楽しいテニスです。団体戦が主になりますが、時間が許すときは個人戦(ダブルス)も行われます。参加費は千円程度ですが医師会主催ですので豪華な賞品や参加賞が頂けます。若い先生方の参加も最近増えて来ました。

2.近畿医師テニス大会
 京都には京都府医師テニス協会という団体があります。以下8番目まではこの協会加入の先生方及び医師家族が対象になります。近畿在住(在勤)の医師達の大会です。これは結構真面目な大会で、後述する全国大会が金・土・日の三日間行われるのに対し、日曜日一日だけで済むので時間はないが自信はあるという強豪が集まるという面もあります。年齢別に分けてダブルスを行います。ここで一つ小生の一番思い出に残る試合を披露させて下さい。
 1991年第9回大会のことです。私は家内と組んでペア合計年令101歳〜123歳の部(男女無関係但し女性にはハンディ20歳が貰える)へエントリーしました。このクラスには8組が出場しました。一応試合形式を説明しますと、4組ずつのA、Bリーグ戦を行い、A、B上位2組計4組が決勝トーナメントを戦うのです。トーナメント戦ではA(リーグ)の1位とBの2位 が、Aの2位とBの1位がまず対戦します。
 さて出場した8組の中では全国大会優勝を何度も経験され西日本医体でも活躍された京都府立医大内科のK教授とやはりK先生の愛弟子で西日本医体ではNo.1だったF先生とのペア(KFペア)が文句なしの優勝をされるだろうと小生を含め皆が思っていました。
 まん悪く私たちのペアはKFペアと同じA(リーグ)で戦うことになってしまいました。お互いに一つ勝ち上がってAでの1位2位決定戦で対戦しました。この試合では予想通り負けはしたもののタイブレークになるという善戦をしました。この1時間近いゲームの間に相手の弱点を一所懸命見つける努力をしました。まともに戦っては勝てる相手では無いので打ってきたらはぐらかし、ロブを上げてきたら確実にスマッシュで決める、つながない、そのためこちらは二人共が中間守備をとる、など如何にしたら相手をかき回せるかを考えながら対戦しました。恐らく相手にすれば思い通りにことが運ばないのでいらいらされたことと思います。そこがこちらのねらい目でもありました。
 さて決勝トーナメントではまずAの一位、KFペアはBの二位ペアと、Aの二位、私たちのペアはBの一位と対戦しました。KFペアも私たちのペアも順当に勝ち上がり、再び決勝戦でKFペアと私たちのペアが対戦することになりました。先の試合でタイブレークで負けたことは知れ渡っていたためギャラリーも多いようでした。
 私たちはとにかくさっきの試合で分かった相手の弱点をとことん突いて行こう、ロブはどんなにネットから離れていても必ずスマッシュで決めよう、そして来た球はとってとってとりまくろうという作戦です。1ゲーム1ゲームがとても緊迫した試合になりました。殆どの試合がデュースデュースの連続でしたが、その度に神が味方してくれたのか大切なポイントの殆どがこちらに来る展開となってなんと6−0で私達が勝ってしまいました。
 相手は優勝経験豊富な男子ペア、こちらは全国レベルでの優勝経験など殆どない夫婦ペアで全くの予想外の結果でした。テニスにはこんなに面白いゲームも時にはあるので止められません。これで自信がついたのか第11回から第13回の近畿大会では神戸の中尾先生と組んで3年連続優勝を勝ち取りましたが翌年からは優勝し過ぎて顰蹙(ひんしゅく)を買うことを避けようと彼とのコンビは解消しました。

3.兵庫県医師会との親善テニス大会
 毎年兵庫県と京都府のテニス愛好医とその家族が集まって試合を行います。これは1955年から続いている歴史の古い大会です。楽しみはテニスだけでなく終了後の懇親会にもあります。毎年なるべく相手チームの知らないような味所を選んで和気あいあいの中で懇親を深めます。残念なことは兵庫県の医師テニス会員は200名以上も居られるのに、我が京都府医師テニス協会の会員数は100名足らずと少ないことです。兵庫には池村辰夫先生という有名なテニス一家が居られます。ご夫婦と子供達4人全てが医師または医学生テニスであちこちで優勝しまくっています。その一人(確か末っ子)が今府立医大のテニス部で頑張って居られます。また、何度も世界大会や医師以外のオープン大会でも優勝されていた故宮村研先生も兵庫ご出身でした。

4.大阪府医師会との交流試合
 こちらはまだ歴史が浅く2000年から始まったと思いますが、確かではありません。やはり大阪と京都で隔年に試合を行います。大阪には原文雄先生というベテランJOPランキング入りの熱心な先生が居られます。奥様もレベルの高いテニスをされる小児科医です。JOPランキングに入るにはテニスに強いだけでは駄目で全国レベルのオープン試合に多数回出場しなくてはならないので医者をやりながらランキング入りするのは至難の技です。

5.高槻市医師会との親睦試合
 1989年から始まった医師、家族ぐるみで行われるあまり勝ち負けにこだわらないとても楽しい大会です。終了後には温泉旅館で食事会を行ったこともありました。

6.島津製作所との交流試合
 テニスが強いので有名な島津製作所の全日本クラスの選手の方々と試合(になりませんが)をしたりレッスンを受けたりします。年に1・2回行われます。

7.法曹界、歯科医師会、獣医師会との不定期戦
 不定期ではありますが、それぞれの団体から10数名の有志が集まりテニスとその後の懇親会を楽しみながら異業種間の交流を深めます。

8.医学生との親睦試合
 昨年(2004年)始めて芝蘭会硬式庭球部の皆様と親睦試合を行ったのはご存知の通りです。初めてにしては大勢参加していただいて大成功だったと思っています。参加していただいた皆様ありがとうございました。またやりましょう。今年は府立医大から試合の申し込みを受けていますが、人数が足らないので京大医学部の協力を得られないだろうかと非公式の相談を受けています。皆様如何ですか?

9.全日本医師テニス大会(日本医師テニス協会主催)
 1974年から続いている日本で最も盛んな医師テニス大会です。毎年秋、都道府県回り持ちで3日間テニスを楽しみます。今年の第32回大会は九州佐賀ウインブルドンの天然芝コートを借り切って行われます。殆どの医師テニスではダブルスが主ですが、この大会ではダブルスだけでなくシングルスも行われます。いつも300名内外の参加者があり、年齢別、さらにA、Bクラス別(実力別)に分けて行われます。小生レベルではAクラスには歯が立ちません。Aクラスでの最高はダブルス、シングルスとも3位どまりでした。Bクラスではダブルス、シングルス合わせて10回ほど出場して4回優勝させていただきました。家内も一度静岡の平松先生の奥様とペアを組んでいただいて出場し優勝したことがあります。女子(医師夫人)にはA、Bのクラス分けが無いのでより厳しいようです。尚女性医師には別枠が設けられていますのでご安心下さい。グーグルで「日本医師テニス協会」と入力すれば詳しい日本医師テニス協会のホームページが簡単に見られます。

10.全日本医師テニス大会(日本医師テニス連盟主催)
 連盟は軟式テニス時代からの組織で歴史は1963年からと古く、春に硬式テニス、秋にソフトテニスの大会が行われます。個人戦だけでなく団体戦が行われるのが特徴です。この大会はより家族的な雰囲気の中で行われます。おかげでここにも5回ほど参加して夫婦MIXなどで3回優勝させていただきました。

11.世界医師テニス大会
 1971年から続いている各国回り持ちの大会です。現在の世界大会会長は兵庫の東 徹先生です。今年はポーランドで開催の予定です。911事件まではアメリカからの参加者が最も多かったのですが、911以後アメリカからの参加が減り、最近では日本からの参加者数が開催国に次いで多いようです。どちらかというとシングルスがメインになりますが勿論ダブルスもあります。小生も1994年のフィンランド大会と1996年のフランス大会に参加しました。どちらの大会だったか、コンソレのシングルス(3セットマッチ)決勝戦で見上げるような大男(名前は忘れました)と対戦してコンソレ優勝を果たしたことがあります。日本の先生方でも優勝される方も大勢居られます。個人戦以外に国の威信をかけた(?)ネーションズカップ争奪戦も行われます。約1週間かけて1日に1〜2試合行いますが試合の無い時間にはいろいろのオプションツアーが計画されますので退屈することは全くありません。1週間の間に家族ぐるみで仲良くなられ末長くお付き合いされる方もよくいらっしゃいます。
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 ここに書いたテニス大会以外にも各地で病院対抗のテニス大会などが盛んに行われているようです。折角テニスに親しみテニスの楽しさを知り尽くされている皆様にこの文章を読んでいただいて一人でも京都府医師テニス協会に入会していただいてこれらの大会に参加していただけることになれば筆者として望外の幸せです。今後いつまでテニスを続けることが出来るかは全く分かりませんがこれからもどうかよろしくお願い致します。
 最後になりましたが本庶佑先生にはご研究や公務、雑用でお忙しい中を芝蘭会硬式庭球部のためにいろいろと御尽力頂き医学部構内に他校の羨むような素晴らしいコートを2面も作っていただきましたこと厚く御礼申し上げますと共に先生の今後ますますのご発展とご健康を心からお祈り申し上げます。
  2005年3月31日  記