ぼけ封じにパソコンで音楽を    伏見医報  Oct.,1997

 今年の初めからテニス肘に悩まされています。好きなテニスが出来なくなった分だけパソコンいじりの機会が増えました。パソコンいじりはいやでも頭と手を使うことになるので私たちのぼけ封じには大いに役に立つのではないでしょうか。

 この数週間自分のものにするべく悪戦苦闘中のソフト、「ソング頼太」をご紹介します。「ソング頼太」は楽器演奏ができなくても楽譜を作るだけでそれをパソコンに演奏させることができるというソフトです。

 楽譜作りは五線譜の上に丁度ワープロのような感覚で音符、休符その他の演奏記号を書いて行きます。最近のパソコンには演奏機能が付いているのが普通ですから、それが直ちにメロディーになって演奏されるのです。

 このソフトの面白いところはマウスやキーボードを使った入力以外に、パソコン付属のマイクに向かって鼻歌でメロディーを歌うとそのまま五線の上に音が入力されて行くというところです。

 しかし、絶対音階で鼻歌の歌える人はめったにいません。そういう時はパソコンが上手に調整してくれます。このソフトを使うと、如何に自分が音痴であるかを思い知らされます。それでも大丈夫、間違ったところだけ後で直せばよいのです。そんな所もワープロと同じです。

 入力できる音のパートは16チャンネルもあります。個々のチャンネルには和音をいれることができます。それらを一度に演奏させることができるのです。

 それぞれのチャンネルに各種の楽器を配置して同時演奏させれば一人でオーケストラの作曲者と指揮者と演奏者をやっているような気分になれるのです。

 こうして作成した楽譜(MIDIファイル)をインターネットを介して送れば世界中どこのパソコンでも直ちに演奏できます。更にそのパソコンがオーディオ装置につないであれば、居ながらにして素晴らしいコンサートが楽しめるのです。自分の作った音楽が世界中の人に聴いて貰えるなど思っただけで楽しくなってきます。

 このような面倒なことをしてまで楽譜を作るのはいやだとおっしゃる方は、インターネットやパソコン通信で音楽ファイルのライブラリーを覗いて見て下さい。クラシックからジャズ・ポピュラーまでありとあらゆる音楽ファイルが無料で使用できて「ソング頼太」などの特殊なソフトが無くても直ちにパソコンが万能楽器に変身します。

 美しい音楽、懐かしい音楽は老化しつつある脳細胞を賦活し、失われかけていたさまざまの記憶を思い出させるという若返り効果に優れています。

 このような文章をパソコンで書いている問も、同じパソコンがラフマニノフを奏で、同時にグローバルサーベイヤーから火星旅行のムービー映像を受けつつあるのです。

 そんなこんなでパソコンしているととてもぼけている暇などなくなってしまいます。

                                

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