「ホームページ」    京都医報   Jan.,2009

 1999年6月に作成した当院のホームページのヒット数が45万回を超えようとしている。一人医師の開業医が自作したホームページとしてはまあまあの数字となり、見て下さる方々には感謝の念ひとしおである。

 日本で始めてNECから売り出されたマイコンキット、TK-80を手にして、無数の細かい部品をボード上にハンダ付けして、マシン語(16進数字の羅列)でしか動かないマイコン作りに挑戦したのが1976年39歳の時、翌年伏見区で開業、マイコンから転じたパソコンを患者データの記録保存と検索表示に使い始めたのは、漢字入力が可能になった1979年のことであった。

 このMS-DOS出現前の自作ソフト入り旧式パソコンは現在も尚、32年間の診療データを蓄えた必須の診療用具として常時診察室の机上で働いている。

 そうこうしている内にインターネット時代の到来である。しばらくはネットサーファーで、まだ殆ど誰も知らない情報を垣間見て楽しむだけであったが、自分でもホームページを立ち上げることにした。丁度それまでのWindowsから格段に性能UPしたのを機会にWindows95を購入、同時に保事協の会員ネットサービスにも入会したが、ここではホームページを作るスペースが無きに等しかったので、その頃実験的にプロバイダー事業を始めていたKyoto-inetにホームページスペースを確保し、医院のホームページと、趣味にしていた写真のホームページギャラリーとを同時に開設した。写真の癒し効果を期待してのことでもあった。因みに写真ギャラリーの方のヒット数は13万を超えたところである。

 さて、医院PRのためにホームページヒット数を確実に増加させるキーワードは、往診可能、時間外診療可能、在宅医療可能などである。しかしこれらに誠実に対応するとなると、とても自分の身体が持たない。それが分かっていたのでこれらのキーワードは私のホームページでは禁句とした。むしろ申し訳けないことではあるが、「当院では往診は致しません」とわざわざ断り書きをしている位である。

 当院で初診時に行っているアンケートによると、ホームページを見て来院したと書かれた方は、直近の初診患者518名中71名、13.7%であった。

 ホームページからは直接私宛にメールすることも出来る。しかし、単純に自院のメルアドをホームページ中に記載すると、えらいことになる。初めの内は大したことは無いが、その内、ロボットに世界中のホームページを検索させ、見付けたメルアドに片端からメールを送ってくるようになる。その殆どは物品販促、出会い系、AV系の宣伝で、80%以上が英文によるメールである。毎日100通近くも来るので真面目な質問メール等もその中に埋もれてしまって見のがしてしまうことがよくあった。

 半年ほど前、自分なりに工夫して、このような迷惑メールを自動選別する設定をした。この効果は抜群で殆どの不要メールは迷惑メールボックスに自動的に入り、私が作成した真面目なメール専用のボックスに入って来るメールは激減し、充分返信可能な数になった。

 パソコンいじりは脳細胞の老化予防に最適の趣味だと考えている。70歳〜100歳を超えた先生方、奥様方にも是非おすすめしたい。パソコンするには年齢性別は関係ないということを是非知って頂きたいと強く願う7回目の丑年を迎えるこの頃である。

 稿を終えるにあたり、この数ヶ月中に頂いた真面目なメールの例を、いくつか挙げさせて頂こうと思う。やはり時代を反映してか、心の悩みが綴られたものが多い。肉体的病状に関する質問には比較的答えやすいものが多かった。

 【例1】〜【例3】 は個人情報保護の観点からホームページ上からは削除させて頂いた。

 【例4】こんばんは パソコンで何かを検索していたらいつの間にか医院のホームページにきていました ホームページ内の写真で何か少し癒されたように思います ありがとうございました。

 (筆者註:医院のページから写真ギャラリーに入ることが出来るようにしてある、時々写真を見て癒されたというメールを頂くと、ギャラリーを作って本当に良かったと思う。)

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