新型インフルエンザをよく知ろう    毎日新聞  Feb., 26. 2008

 東南アジアで鳥インフルエンザに感染して亡くなる方が増えています。WHOによると2008年2月現在インドネシア,タイ,中国,ベトナムなど14ヶ国の合計で感染者360人中226人死亡、死亡率63%という恐ろしい数字が示されています。

 近い将来この[鳥→人]感染を起すH5N1ウイルスが[人→人]感染を起す新型インフルエンザウイルスに変異した時に予想されるパンデミック(世界的感染爆発)が深刻なのはこの高死亡率のためです。

 過去のインフルエンザウイルスパンデミックに1918年のスペインインフルエンザがあります。当時の世界人口約12億人中6億人が感染5千万人が死亡、日本では人口5500万人中2300万人が感染39万人が死亡しました。この時も感染元は鳥インフルエンザからの変異ウイルスでした。

 この例から当時よりはるかに人の移動が激しい現在、新型インフルエンザパンデミックが起これば医学の進歩を勘案しても、今の世界人口66億人中1億人が死亡し、日本でも百万人近い死亡者が出ると推定され、パンデミックに対処する準備が厚労省主導で始まっています。

 新型インフルエンザに有効とされる抗ウイルス薬や、予防にある程度の効果が期待されるH5N1ウイルスに対するワクチンの備蓄も行われていますが、肝心の[人→人]感染を起こす新型インフルエンザウイルスに対するワクチンは実際にそのような感染者が出てからでないと作れません。

 海外からの感染渡航者に対する検疫の強化や感染者の隔離施設充実なども計画されていますが、まだまだ充分ではありません。

 ですからパンデミックに際しては、私たち自身で出来る自衛策が必須です。具体的には、最も効果的とされる手洗いやうがい、マスクの使用などに始まり、部屋の湿度と温度を高めてウイルスの増殖を抑え、感染が起こりにくくします。

 感染の機会となる、人が大勢集まるような場所に行かないこと、ウイルスに負けない身体を作るため、普段から栄養や睡眠を充分とっておくことなども大切です。

               随筆集目次へ              e-mail