医院・診療所便り  〜総合病院との連携について〜
栗原 眞純
「たけだメディカルニュース」より 2004年4月

 今年2月大坂の某テレビ局から取材を受けました。「最近大きな病院に[総合診療科]が新設されどの科へ行けばよいかを決めかねている者にとっては大変便利になったが元来このような役割を担っていた筈の開業医はどうしたのかネットで調べて見よう」ということで「何でも診てくれる便利なお医者」と書いてある当院のホームページを見付けて取材に来られたのです。
 取材中「いろんな症状を診ていて困ったことはありませんか」と質問され「分からないことだらけですよ、そんな時は迷わず専門の先生方に助けて頂きます」と答えると「では患者さんを紹介されている先生を教えて下さい」とのことで常日頃お世話になっている武田病院の先生を紹介させて頂きました。これが縁となり今回この「たけだメディカルニュース」に当院の記事を載せていただくことになりました。

 当院は26年前開院当初から「何でも診てくれる便利なお医者」としてどの病院のどの科へ行こうかと迷って居られる患者さんの交通整理役を努めることを目標にしました。しかし「プライマリーケア科」や「総合診療科」は標榜出来なかったのでやむなくともすれば軽視されがちな多科標榜医院からの出発となりました。
 しかし患者さんの訴えはどんなことでもよく聞かせて頂くという方針を貫いてきた結果、昨今では病状にこだわらず来院して下さる方が増え自然と総合診療科的な診療が出来るようになりました。26年余の間に来院された患者さんのデータを瞬時にパソコンで呼び出せるようにしたことも強力な診療補助ツールとなっています。

 「総合診療」を行うに当たり大切なのが近くの総合病院との緊密な連携です。総合診療に要求される深くて広い知識や高額な先端医療機器を一人の開業医が有することは困難です。診療に際しては永年の経験から得た知識に照らし合わせ一見軽い症状の内にひそむ、薬剤投与や外来処置のみでは「予後不良となるケース」、「治りにくくなるケ−ス」、「既に重症化しているケース」などを早期に発見しプライマリーケアの守備範囲を逸脱することなく上級病院に紹介することが開業医の使命だと考えています。

 当院からほど近い武田総合病院は卓越した先端医療機器とそれを使いこなされる優秀な人材を確保された上で紹介患者の受け入れ窓口として地域医療連携室を置かれ「総合診療」のバックアップ病院として大変頼もしい存在です。

 紹介した患者さんについては後日必ず丁寧な報告書が送られて参ります。病状が改善された患者さんにはその後の治療に関する貴重なご意見を付して逆紹介を受けるなど適切な対応にはいつも感謝して居ります。このような一人ひとりの患者さんを大切にする取り組みは当然のこととは言え、日々の診療や手術、教育などで多忙な先生方にとってはたいへんなご苦労であろうと推察致します。この場をお借りして心から御礼申し上げます。
 地下鉄の開通と共に今後の発展が期待されるここ醍醐・小栗栖地区を出来るだけ病気の少ない住み良い街とするべく病院・診療所が手を携え協力し合って行ければと考えています。

〒601-1462京都市伏見区小栗栖森本町51
生保取扱 労災指定 駐車場有
標榜科目:外科・整形外科・肛門科・内科

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