フォトエッセイ 令和元年、伏見のできごと  京都保険医新聞 令和2年新春特集号  栗原 眞純

 令和元年を振り返って先ず思い浮かんだのは、当院近くで7月18日に起きた京都アニメーション(以下京アニ)の何とも理不尽でやりきれない思いのする事件です。

 アニメ作りという特別の才能を持ち、アニメ大国日本の宝とも言える大勢のベテランや若者が被害に遭われた悲惨なできごとでした。
 京アニは、1985年宇治市(一部伏見区)に設立されたアニメ制作会社です。創業者の中には長く手塚治虫のアニメ仕上げを担当していた実力派が居られます。アニメの演出/作画/撮影などを自社完結し、ストーリー原作もされているようです。その作風は根幹に手塚時代に培われた豊かな人間愛溢れるものが多いように思います。

 Apple CEOのティム・クック氏が事件当日、ツイッターで「Kyoto Animation is home to some of the world’s most talented animators and dreamers−the devastating attack today is a tragedy felt far beyond Japan. KyoAni artists spread joy all over the world and across generations with their masterpieces.心よりご冥福をお祈りいたします。(原文ママ)」と書いています。

 また、www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/07/post-12575.php
をクリックすると、Newsweek日本 による同日の英BBCや米CCN記事も見られます。
  京アニ作品の中に、いじめ、障害、差別と言ったそれまでアニメとは馴染みにくかった、現代社会の重要かつ深刻なテーマを取り上げて大ヒットした「聲の形」があります。

 「響けユーフォニアム」と言う作品は、宇治市にある北宇治高校(府立莵道高校がモデル)吹奏楽部を中心として宇治市周辺で起こる高校生の友情・恋愛・受験・悩みと言った日常が題材です。どこにでもある日常を、より美しく緻密に画いただけでWEB上だけでなく世界の劇場やテレビでヒットさせてしまうところが、京アニの凄いところです。

 先だって散歩の途中、木立のすきま越しに電車を撮影していました。あっ、あれはどこかで見たような・・・、そうです、「響けユーフォニアム」に出てくる「くみこ」さんが電車の窓からこちらを見ているではありませんか。なんだか嬉しくなってシャッターにそっと触れる私でした。 令和元年12月19日 校閲終了
    

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